「俺……どうしたらいいんだろう」

麗は、椅子の背もたれに身を投げた。



「お前は堂々としてればいい。ビクビクしていても仕方ないだろ」

どんな言葉をかけても、麗の表情は曇ったままだ。



本人は気づいてないかもしれないが、俺には麗が女にしか見えない瞬間が何度もあった。

いずれは、世間もこのことに気づいてしまうのだろうか。

噂話は、少しずつ真実に近づいていくものなのかもしれない。



噂がおさまることを期待したいが、この秘密が公になる日はそう遠くない……

そんな予感がした。