ーその日、突然電話が鳴った。

『もしもし、遼……』

適当な病名を発表して自宅療養中ということになっているジュリア。

この前会った時よりも、元気そうな声だ。



「ジュリ、体調は大丈夫か?」

『大丈夫だよ……
こんなにうちでゴロゴロできることめったにないしね』

手術が済んでも、しばらく仕事を休ませることにしたのは桜井社長なりの配慮だったのかもしれない。

一週間も一人で家ににこもっているにしては、ジュリアの声は不思議と明るかった。