Reality~偽りの歌姫~《完》

「そんなことねぇよ!」

思いっきり(にら)みつけられてしまった。



こいつは育ちが良さそうな顔をしてるわりに、とんでもなく言葉遣いが荒くなることがある。

そのギャップには慣れてきたが、今のセリフは怒りに触れてしまったようだ。



「悪かった……今のは冗談だ。
お前なら大丈夫だろ」

わがままな妹に(きた)えられた俺は、人をなだめるのには自信がある。



床に捨てられたままの歌詞カードを拾った。

歌詞カードの隙間には、細かい字でいろいろ書き込んである。



「見るな!」

麗は、俺の手から歌詞カードを奪った。