Reality~偽りの歌姫~《完》

歌詞を手にしたまま、麗は不満そうな顔を俺に向けた。

「和樹と琢磨にも、もっと歌わせてあげたらいいのに……ほとんど俺のソロじゃん」



こいつは歌手志望のくせに、目立ちたがりではないのだろうか。



「和樹も琢磨も、あれじゃソロは厳しいだろ……お前、ソロで歌いたくないのか?」



「ソロが嫌なわけじゃないけど……俺ばっかり目立っても悪いし」

麗は歌詞カードを放り投げて、床の上に座りこんだ。



不満というよりは、不安なのだろうか。

思い悩むような目で、床に落ちた歌詞カードを見つめている。



「意外とプレッシャーに弱いんだな」

軽い冗談のつもりで、笑いながら言ったのだが… …