担任の先生は私の視線に軽く
首を傾げて、それから
私の机の惨状に気づく。

「赤坂さん、さっきまで
何をやっていたの?早く机の上を
綺麗に片付けなさい。」

え......?

私は思わず耳を疑った。

先生、まさか本気で言ってる
わけじゃないよね。

中学生にもなって自分で机に
落書きなんてするはずないから。

信じたく、なかった。

すがるような気持ちでもう1度
先生を見たけれど、先生は
冷ややかな視線をこちらに
送っただけで何も言わなかった。

「先生、赤坂は自分でやったんじゃなくて
誰かにやられたんだと思いますけど。」

「私もそう思います。」

奏が声をあげて、
葉音がそれに力強く反応した。

奏、葉音......。

担任の先生は2人の言葉を受けて
鬱陶しそうに眉をひそめた。

「2人とも何を言っているん
ですか。そんなことを言っている
時間があるのなら赤坂さんの
片付けでも手伝ってあげなさい。
赤坂さんは後で職員室に来ること。
いいわね。この話は終わりよ。」