「以上が、俺が友達とか
家族、担任とかから聞いた
口無し事件の真相だ。その
あと凜は小学校は卒業する
まで来てなかった。」

「そう、なんだね......。」

私は、奏の話を聞き終えて、
胸が張り裂けるような
感覚に陥っていた。

「凜に、そんなことが
あったなんて、私は全く
知らなかった。」

私の存在が、1人の人間
である凜の心を壊した。

それは、罪。

私たちの手の届かないところに
隠してある漆黒の闇だ。
自分の気づかぬうちに、相手を
傷つけていた、だなんて。

「凜......ごめんね。」

一筋の涙が、私の頬を伝って
静かに零れ落ちた。
その雫は、自分のスカートに
冷たいシミを植え付けていく。

みっともなくて情けないと
思ったら余計に涙が止まらなく
なって、1人で泣きじゃくる。