「口無し事件で最初に
アクションを起こしたのは
クラスの奴じゃなくて、
俺たちとはなんの
関わりもない凜だったんだ。」

『出来損ないの癖に!』

凜の言葉が脳内によみがえる。
苦しくなって胸に手を当てて
咳き込んだ私に、奏は心配
そうな視線を向けた。

「無理、しなくてもいいよ。
結乃は真実を知らなくても
いいんじゃないの。」

奏が私を気遣ってそう言って
くれているのは分かる。

それでも。

真実をちゃんと受け止めないと
いけないような気がしたから。
苦しくても、最後まで聞こう。

トラウマの物語の...真実を。