「.........。」

黙り込む奏に、私は
動かしていた足をとめた。
それから、奏に向かって走って
思いっきりタックルをかます。

「え......ちょ、結乃っ?」

公共の場でこんなことするのは
恥ずかしいけど、なんて
思いながらも道に倒れこんだ
奏の横の地面に手をつく。

「奏が私に言いたくない理由、
なんとなく想像つくよ。私が
傷つくようなことなんだよね。
でも、隠さなくていいから、
私は本当のことを知りたい。」

それだけ言って、立ち上がる。
奏は、少しの間呆然としていた
けれど、やがて小さくため息をついた。

「結乃ってときどき行動が
大胆すぎてついていけない。」

なんて言って笑っている。

「じゃあ、教えてくれるよね?」

尋ねると、彼は渋々といった様子で頷いた。

「俺の口から話していいのか
分からないけどさ...俺の知ってることは
全部、ちゃんと話すから。」