「じゃあ、やってみるよ。ジュリエット。」

ジュリエットは1番セリフが多いのに。
美術部の作品展示とかけもちして
練習が間に合うのか心配になってくる。

「大丈夫かな。」

小声で呟いた、その時。

「おおぉ!」

男子の方から歓声が上がった。
誰がロミオになったんだろう?
ハグとかあるから、安心できる人だといいな。

「そっち、誰がロミオになったの?」

葉音が聞くと、男子の輪から不機嫌そう
な声が答えた。

「俺だよ。」

え、この声ってまさか......。

「あ、神影君なの?良かったね、結乃。
めちゃめちゃお似合いじゃない。
幼馴染み同士でロミオとジュリエットとか、
すっごく素敵なことじゃん!」