私は1通りのセリフをさっきと
同じように感情の変化に
気をつけながら話していった。

全てのセリフが終わったところで、
短剣を取り出して手首にぎゅっと
押し当てて強くひく。

そのとき、異変が起きた。

「.........痛っ。」

突然強い痛みがはしって、
私は思わず短剣を取り落とす。

手首に視線をやると、真っ赤な
鮮血がポタポタと滴り落ちていた。

「結乃っ、大丈夫か?!」

異変に気づいた奏が私の手首を
ハンカチで縛る。

「流血が止まらない。誰か、
早く五十嵐先生呼んできて。」

急に周囲が騒がしくなった。
私は大きな不安にかられて、
どんどん呼吸が浅くなっていく。

そんな私の背中を奏はゆっくりと
さすりながら私を落ち着けようと
声をかけ続けてくれた。

「心配しなくて、大丈夫。すぐに
五十嵐先生が来るから。
今回のことは結乃のせいじゃないから
自分を責めたりすんな。」

奏の言葉はいつも私の心にそっと
寄り添ってくれて、私を穏やかな
気持ちにさせてくれる。