その子は、なんだかすごく
綺麗な子だった。

つやつやでサラサラの黒髪に
チャコールグレイの瞳。

その瞳を見つめていると
吸い込まれてしまいそうな
気がして、慌てて目をそらす。

「大丈夫......だよ。」

かろうじて平静を装って答えた。
きっとバレていないはず。

ほっと息をついたのに、私の
予想はあっさりと裏切られた。

「大丈夫じゃない、顔してる。」

男の子は私の前にしゃがみこんで
私の顔をじぃっと見つめる。

「どしたの。」

静かに尋ねられて、私はなんだか
ほっとして泣いてしまった。
突然ボロボロと泣き出した私に
男の子は驚いたようだったけれど
ためらいがちに手を伸ばして
私の頭を撫でてくれた。

「大丈夫だよ。きっと君は
悪くない。僕が約束するから。
これ食べて元気だしてね。」

男の子はゴソゴソとズボンの
ポケットを漁った。