そんな、ある日のこと。

小学校を終えて家に帰ると
お母さんはまだ仕事から
帰ってきていなくて、私が
1人で泣いていると玄関の
外から私と同じ年くらいの
男の子が数人、なにやら
話しているのが見えた。

私は玄関ドアに耳をそっと
押し当てて、耳を澄ませる。

「ここだろ、お化け屋敷。」

「叫び声をあげる怖い
お化けがいるらしいよ。」

「入ってみよーぜ。」

身体が固まった。
入ってみる?
この男の子たちは
なにを考えてるの?

深呼吸で心を落ち着かせて、
私は慌てて涙を拭った。

その直後。

ガチャっと音がしてドアが
開くのが分かった。
男の子たちは、立っている
私を見て驚きの声をあげる。
私は咄嗟にしゃがみこんだ。

「お化けだ!」

男の子たちが口々に叫んで
その場から走り去っていく。

音が止んだとき、
顔をあげると1人の男の子が
こちらをじっと見つめていた。

「大丈夫?」