「あ、そういえばさ。」

ただただ笑いあっていると、
不意に彼が声を出した。

「ん?どうしたの。」

「結乃は、なんで自殺未遂した時
ラジオを持ってたんだろ。というか
なんでラジオが屋上にあったんだ?」

戸惑いの表情を見せた彼に告げる。

「あのね。奏がフランスに行って
すぐくらいからか、結乃の靴箱に
手紙が入れられるようになったの。

今持ってる......この紙だよ。
貴女の親について話したい、みたいな
内容の手紙が毎日毎日いれられててさ。

私も始めは無視しようって言ってたん
だけどあまりにもしつこいから
行ってみる?って誘って、それで...
屋上に行ったらラジオが......」

「そっか。そんなことがあったんだな。
続きは無理して言わなくていいよ。」

その場の空気を察してさりげなく
気遣ってくれる奏は本当にすごい。

渡した紙をじっと見つめる奏。
俯いていると、上から
淡々とした言葉が降ってくる。

それは、独り言のようにも聞こえた。

「凜、自分が犯人だって言ったんだ。
だけど、きっと。いや絶対に、
ラジオを置いたのは凜じゃない。」

それは、いったいどういうこと?