「ここだろ、お化け屋敷。」

「叫び声をあげる怖い
お化けがいるらしいよ。」

「入ってみよーぜ。」

そんなふうに家の前で会話を交わして、
それからゆっくりとドアを開ける。

俺はびっくりしてその場に立ち尽くした。

だってそこに、女の子が居たから。

自分と同じくらいの年齢で、色素の薄い
茶色の髪に大きな瞳をもつその子は
ドアの所でしゃがみこんで震えていた。

「お化けだ!」

他の友達は女の子を見るなり
そう叫んで次々と走って逃げていく。

「大丈夫?」

残された俺はその子に声をかけた。
その子が心細そうな顔をしていたから。
誰にも言えないような辛さを
胸に抱えているような気がしたから。


そしてその日から、俺と結乃は
かけがえのない幼馴染みになったんだ。