私を虐待した挙げ句に最後はあっさりと
親権を手放した赤坂 夏乃香は、
私の母親なんかじゃなかったんだ。

私の本当のお母さんは......。

今から7年前にガンで亡くなった、
私が奏のお母さんだとずっと
信じこんでいた水戸橋 友梨那さん。

2人は子供を交換することで、
お互いに望む幸せを手に入れられたんだ。

映画はさらに続いていく。

奏の父親になった私の父は跡継ぎとなる
男の子の誕生を心から喜び、友梨那さんと
2人で大切に奏を育てた。

でも、私を引き取った夏乃香さんは
夫からそもそも子供なんて授からなくても
よかったのにと言われる。

あぁ、そうなんだ。

流れ続ける映像を目に焼き付けながら
ぼんやりと事実を感じとる。
やっぱり私は、望まれない子なんだな。

私たちが2才になる頃に、
私は家族3人そろって盥ヶ峰を出た。
そして後にお化け屋敷と呼ばれるように
なるあの家で暮らし始める。

そして私たちが小2の頃に友梨那さんが
病院で静かに息を引き取った。

夫婦の仲がうまくいっていないことを
理由に、私の両親は離婚して
あの家には私と夏乃香さんだけが
これからも住むことになり、お父さんは
どこか他の都会へと出ていった。