一定のリズムを刻むように走る。

あの光まで、走り続ける。

まるで、小学校の時に毎年やっていた
マラソン大会のようだった。

「...はっ...はっ。」

呼吸が乱れる、足は悲鳴をあげる。
だけど、止まっちゃダメだ。
闇は、全てを飲み込んでしまうから。

「奏!」

愛しい君の名前を叫ぶ。
その時、奏の声が聞こえた気がした。

『結乃.........好きだよ。』

空耳?

でも、確かに奏の声だった......。

「私も.........好きだよ。」

控えめに応答する。
空耳だって分かってるのに、
好きなんて言われたら照れる。

私のこの想いは伝えられないから。
だって奏は迷惑でしょ?
私みたいな幼馴染みに告白されても
鬱陶しいだけだよね。

自分でもテンションが
ほんの少し下がったのが分かった。

足の裏がジンジンする。
目が乾いてカラカラになる。

それでも。

私は走り続けるんだ。
あそこに辿り着けさえすれば、
きっと君に会えると信じて。