俺と結乃は幼馴染みで。
小学校からの付き合いで。
それ以上は何もないと信じていた。

それが壊されたのは中2の夏。
離婚したあとに酒に溺れて結乃に暴力を
奮っていたアイツが轢き逃げ事件を
起こして逮捕された時のこと。

俺は養子縁組で引き取ってもらった先の
今の母親である神影さんに必死で頼んだ。

『もし結乃の親が親権を放棄するなら...
彼女を、引き取ってほしい。』

中2でまだまだガキな俺の頼みなんか
聞かなくてもいいのに、神影さんは
真剣に話を聞いてくれた。

結乃と出会ったときのことや虐待のこと。
虐待が酷かった一時期は、俺が勝手に
連れてきて一緒にうちに住んでいた子だと
伝えると神影さんはほっとしたようだった。

『あの子のことならよく覚えてるわ。
養子縁組で引き取れるように
市役所の方と話し合ってみるわね。』

そして、結乃は俺と兄妹になった。

俺は昔から結乃が好きで。
ずっとその想いを隠したまま結乃との
幼馴染みという関係を続けている。
想いが通じあっていなかったとしても、
一緒にいられるだけで幸せだった。

なのに。
あの日、俺は衝撃の事実を知った。