スマホを開けると葉音から
ありえない量の着歴がきていた。

確認すると、どれもほんの数秒前。

かけ直すかどうか悩んでいると、手元で
スマホが軽やかに着信を告げた。

prrrr.prrrr.prrrr...

「もしもし、葉音?どしたの。
すごい数の着歴で正直いうとかなり
びっくりしたんだけど。」

俺が電話にでると、葉音は
ほっとしたように安堵の息が聞こえた。

『良かった......。ねぇ、奏。
スマホのメッセージアプリに
連絡いれたんだけど、奏はそれ見た?』

尋ねられて、俺は答える。

「ごめん、見てない。今、スマホとか
触ってられるような状況じゃないんだ。
この電話もいつ切るか分かんねぇもん。」

スマホの画面越しに無言の時が過ぎる。
向こうは今、何時くらいなんだろ。
朝か、それとも夕方なのかな。

そんなどうでもいいことを考えていた。
すると、葉音が静かな声で言った。

『1度しか言わないからよく聞いて......
結乃が、自殺未遂をした。結乃を
救えるのは貴方だけなの。そっちから
帰ってきたらちゃんと結乃の傍に
行ってあげなよ。それじゃ。』

混乱する俺を残して電話が切られる。

結乃が......自殺未遂?
冗談はよしてくれ。
頼むから嘘だと言ってくれよ。