私たちの手紙に書かれていたのは
いじめへの恨みやつらさ。

『例え手を貸していなくても、私を
無視した時点でいじめなんです。貴女も
気持ちを改めて下さい。』

私の手紙にはそう書かれていた。
確かに、そうかもしれない。

あの頃の私はクラスメートのいじめを
見てみぬフリをして、
そして心のどこかで黙認していた。

だけど、結乃への手紙には。

『ありがとう。』

ただそれだけが書かれていた。

私は、今ではいじめのリーダーだ。
結乃の物を隠し、落書きをして、
陰口を言っている。

本当はいじめが悪いことなのだと
分かっているけれど、その事実よりも
結乃が許せないって気持ちが勝ってるから。

指に力が込もって手紙の端が
少しだけぐしゃりと潰れた。

これは私たちの思い出の象徴。
楽しかった過去の記憶の残像だ。

結乃なんか早く死んじゃえばいいのに。
そう思うほど自分が嫌いになる。

私には傷つけることへの不安がないから。
傷つけられても哀しいと思わないから。

貴女の気持ちが分からないの。

夕闇に染まる空を眺める。
美しい黄金色の光が私を包み込んだ。