私にとっての結乃は、まるで
ポーラースターみたいな存在だった。

ポーラースターっていうのは、
空に輝く北極星のこと。

結乃はいつでも誰にでも優しくて
今でもずっと私の憧れの存在。

同じ小学校だった私たちの
出会いは本当に突然で。

小3のとき、休み時間に熱中症で
倒れた私を助けてくれたのが結乃だった。
いきなり倒れた私を他のクラスメートは
遠くから眺めるか馬鹿にするかだったのに、
結乃は側に来て声をかけてくれた。

『苦しいの?大丈夫だよ。
すぐに先生が来るから。今、かな君が
先生を呼んでくれてるから。』

そういって結乃は私の背中を起こして
スポーツドリンクをくれた。

まもなく奏が先生を呼んできて、私は
保健室に連れていかれたけれど、
そのとき結乃と奏は2人で嬉しそうに
笑ってたのが印象に残っている。

『いいことしちゃったね。』

『そうだね。』

そんなことを言ってたっけ。

あの時から、私の中で結乃は
憧れの人、目標になった。

結乃と仲良くなりたかったけれど、
恥ずかしがり屋だった私はお礼すら
言えずに小学校を卒業してしまった。

だから、正直かなり驚いた。
中学の入学式で奏と結乃を見かけたとき
本当に嬉しかったのを覚えてる。