「ごめん、なさい......。」

その声があまりにも小さくて、
怯えるように震えていて。
私は葉音の背中をそっと擦った。

「大丈夫。葉音のせいじゃないよ。
私は葉音が悪いなんて少しも
思ってないから安心して。」

葉音は泣きながら強く首を
横に振って叫んだ。

「でも私っ。危うく大事な友達の
結乃を殺すところだったんだよ?
そんな私が許されるはずないよ...。」

葉音、そんなこと考えなくて良いよ。
葉音が私にしてくれたこと、私に
とって本当に嬉しかったから。

葉音は私の大切な友達だからね。

私は目を閉じて、葉音の頭を
なでながらそっと語りかける。

「葉音は私のヒーローだよ。
私が奏との関係を切って
何も出来ないくらい落ち込んでたとき、
一生懸命に励ましてくれたことは
忘れないから。ありがとう。」

奏も近づいて来て、葉音の頭をなでる
私の手にそっと自分の手を重ねた。

「俺からも言っとく。結乃のこと
しっかり見ててくれて本当に
ありがとうな、葉音。」

「2人とも優しすぎるよ...。」

葉音は、笑った。
さっきまでずっと泣いていたから
目も腫れているし可愛いとは
言えないのかもしれないけれど。





その笑顔は、他のどんな表情よりも
本当に綺麗な笑顔だと思った。