葉音はかなり驚いたみたいで、
机を持っていたパッと手を離した。

ガシャァァァァァァアン!

大きな音を立てて、
机が床に落下する。

奏は葉音の前まで歩いてきて、
彼女の肩を強く揺さぶった。

「葉音。目、覚ませよ!結乃は
お前が本当に嫌いだったわけじゃ
ないんだよ!お前を守るために
わざと嘘ついたんだ!それに
気づけよ!結乃をいじめたりしたら
俺が許すわけねぇだろ!」

どうして......。

どうして奏がそれを知ってるの?

私が奏との写真を割ったとき
奏は寂しげに走っていった。
私の嘘には気づいていなかったはずなのに。

なのに、なんで......。

「か、な......奏っ!」

気づけば私は君の名前を
大声で叫んでいた。

「.........結乃っ。」

奏はこちらに近づいてくると
私の名前だけを呼んで、
力強く抱き締めてくれた。

「あんまり心配かけんなよ......っ。」

少し掠れたその声に、奏が
どれだけ心配してくれたのかが
分かって泣いてしまった。

「ちょっ、お前、泣きすぎだろ。」

そう言って慌てる彼の瞳にも
雫が光っている。