それから、練習が始まった。

葉音たちはこの劇にわりと本気で
取り組んでいるみたいで、
私と奏はしょっちゅう
セリフが変わったり演技指導を
いれられたりでてんやわんやの状態。

やっと一息つけたと思っていたら今度は
衣装担当がメジャーを持って
採寸にくるほど暇無しで忙しかった。

「はぁ、疲れた...。」

やっとのことで劇の
前半部分の練習が終わり、
明日からは後半部分の練習に入る。

あの、問題発言のあるところだ。

「葉音、もうちょっと恥ずかしくない
セリフに変えてほしいんだけど、駄目?」

駄目押しで頼んでみたけれど、やっぱり
葉音の答えはノーだった。

「せっかく奏と出来るんだし、思いっきり
ジュリエットって役に
なりきっちゃいなよ、結乃。」

「もう、ちゃかさないでってば。」

本当に、恥ずかしくて
死んじゃいそうなんだから。