「もぉ!ひーくん?聞いてる?」


 学校からの帰り道。ボーッとしながら歩いていると、隣で怒る声が聞こえた。


 その声に気づいて隣を見ると、上目遣いで俺を見つめる色素の薄い目があった。


 身長差があるからか、自然と上目遣いになるのは分かるけど、不意打ちで来られると困る。


 直接目が見れねぇっての……。



 そんなことを考えてしまう俺は本当にどうかしている。


「ねぇ、ひーくん?本当に……「聞こえてるって」」


 俺はもう一度聞いてこようとしている彼女に声を被せた。



 聞いてるよ。お前の声を、言葉を聞き逃すわけないだろ。