十歳の頃、父親の仕事でアメリカに移り住んだ。場所はシカゴ、ちょうど神様が引退する前の年。でも残念ながら僕はバスケットには興味が一切なく。ロドマンもピッペンも知らなかった。
初めて着いたアメリカの我が家、郊外にあり裏には広い庭が広がっていた。両親は忙しそうに荷を片付けている。玄関の外からは明るい光が注ぎ込んでいた。僕は吸い寄せられるように外に出た。見知らぬ異国の土地で魔法にかかったみたいな軽い足取りで。家の前に出ると隣りの家の黒人の男の子がボールをドリブルして遊んでた。じっと見ていると目があった。その男の子は微笑んでこっちに向かって何か言った。