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 翌日の教室。

 泣き腫らした顔の雪生。

「どうしたんだその顔?」

 雪生の机に腰掛け、雪生の顔を見て、腕組みをした時朗が言った。

「別に」

「おまえ、この間から変だぞ。何かあった?」

「あー? オレには見えない物が見えるんだよ」

 雪生は机に両腕を投げ出して体を伏せた。

「なに!? おまえ霊感が身についちゃったの?」

 時朗は少し仰け反って雪生から離れた。

「違うよバーカ。女が首から[ひろってくれ]って、札下げてんだよ」

 一瞬、間。

「ははーん。おまえ、それはアレだな…」

「?」




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 雪生は購買でパンを買って戻っている所だった。

「あった?」

「おう。取れよ」


《 17年間生きてきて初めての感触だ。こんなに突然やってくるものだとは…。》


 声を掛けた離れて待っている時朗へとパンを投げた時、タイミング悪く、階段から下りて来た女子生徒の頭にパンが当たった。

「ゴメン、ゴメン…」


《 もしや子羊はボクの方だったのでは? 》


 雪生が謝りながら近づくと、それが有莉だという事に気づく。


 あ! 


 雪生の顔が途端に赤面した。


《 特殊な形だが、どうやらこれを一般では一目惚れというらしい。》


「ボクとお付き合いして下さい」




                                    end♡