「茉莉子!茉莉子!」



「えっ?」



目を開けると、そこは高校時代の教室だった。




目の前には、今は数十年会ってない親友・沙織がいた。




「どーしたの?ボーッとして。」




「ううん。何でもない!」



あたしは、あの頃学校しか居場所がなかった。




家では、母が虐待をしていたから。



あたしの父は、4歳のとき交通事故で他界した。




それから母は、別人のように変わってしまった。




殴る蹴るは、当たり前の日常。



そんな状況から抜け出したくて沙織達とつるんだ。



学校は、毎日楽しかった。



でも、家ではひどくなる一方で、あたしはストレス発散のためにクラスメイトの女子をいじめた。




彼女の名前は、柿沼 哀子(かきぬま あいこ)。



いつも教室の隅で本を読んでいるどこにでもいそうな女子。



見ているだけでムカついた。



あいつの家は、裕福だった。




ツヤツヤした黒い髪に白い肌。




いつもクールで誰ともつるまない一匹狼。



それが、気に食わなかった。