「ねぇ、アレ蛭子さんじゃない?」



「うわぁー。今日も一段と暗いな~。目合わせないようにしないと。」



声のする方を見ると、そこにはベンチに座ってオカルトの本を読んでいる女の子がいた。



同じクラスの蛭子美影(ひるこみかげ)ちゃん。



最近、転校してきた子なんだけど黒い髪と暗い雰囲気のせいで、影では「魔女」って言われて皆から避けられてる。



(蛭子さんも、もっと皆の輪の中に入って行けたらなぁ。)



なにか、いい方法ないかなぁ~。


「そうだ!」




「へ?千秋?」




私は、チョコを抱きかかえて蛭子さんの所へ走っていった。



「あの!蛭子さん!」




「な、何?」




急に来た私達を見て、蛭子さんは驚いた表情をした。




「チョコのこと、撫でてあげて!」




「ワン!」



(お~!チョコ、めちゃくちゃ尻尾振ってる!さぁ、蛭子さんもこの可愛さに惹かれて撫でてくれるハズ!)



「私、いい・・・・・・。」




「あ!蛭子さん!」




そう言うと、蛭子さんは走り去ってしまった。




「行っちゃた・・・・・・。」



「千秋~!また、蛭子さんのこと気にしてたの?」




「あんな子にまで声かけるなんていい子だね~。あ、もちろんチョコも!」





「ワン!ワン!」