私はなんとか間にあった。
が、政輝は駐輪場に自転車を置いて来たので間に合わなかったらしい。
そしてプール掃除を放課後にしなければいけなくなったというメールがきた。

私は学校では政輝と距離を置いている。
なんと言っても政輝はイケメンで性格も優しいし頭もいい、運動神経も抜群。
ファンクラブと親衛隊もある。
そんな政輝と一緒にいたら私は確実に狙われて学校生活終了だ。
正輝にそうやってちゃんと言っている。
かと言って寂しい訳では無い。
私には傘河悔 渼流(カサカゲ ミル)という親友がいるから。
大人しくて可愛らしい。
まさに可憐という言葉が似合う子だ。
学校では私と渼流のことをこう呼ぶ。

向日葵と水仙

私と渼流は性格も雰囲気も真逆らしい。
私はこれでも登山部に入部している。
逆に渼流は天文部に入部している。
私は勉強よりも運動が得意。
渼流は運動よりも勉強が得意。
渼流は毎回学年トップを保っている...訳ではなく今は2位だ。
頭がずば抜けていい渼流をおさえているのは紛れもない正輝だ。

昼休みになり私は決心をし職員室へ向かった。

「失礼します!先生方こんにちは!」

私の大きな声に先生達が挨拶を返してくれる中、ある1人の先生に声をかけた。

「安藤先生。少しよろしいでしょうか。」

私が声をかけたら間もなくすぐに振り向いてくれた。
すらっとした顔立ちによく似合う眼鏡をかけたその先生はいつにも増してかっこいいオーラを放っていた。

「正踏さんの事なんですけど...」

私が恐る恐るそのことについて聞いたらああ、なんだそんな事かと思ったらしく先生は呆れ顔で話した。

「あいつはこう...なんで遅刻をするんだろうね。頭脳明晰、運動神経抜群だってのに...ん?それと真坂になんの関係があるんだ?」

先生がキョトンとしている中私は意を決して言葉を発した。

「あの...その事なんですけど。正踏さんは悪くないんです。私が寝坊しちゃって...彼がその待っててくれたことで彼は遅れてしまった訳なので今回の件は私に責任があるので私にプール掃除をさせてください!」

勢いよく頭を下げ恐る恐る目を少し開き先生の方を見ると口を開けて驚いていた。
やはりいきなりプール掃除をさせてくださいなんて言うのはおかしかっただろうか。

「あの...せ、先生?」

私に声をかけられ我に戻った先生は私に変な質問をした。

「し、真坂と正踏は付き合ってたのか?」

聞かれるとも思わなかったその質問に私はキョトンとし沈黙の間がながれ私は口を開いた。

「先生何言ってるですか?付けあってるわけないじゃないですか。私と正踏はただ」

先生の誤解をとこうとしたが先生が焦りだしたように話し出した。

「あ、ああ。そうだった。プール掃除の件だったな。うん。まあ話を聞く限りお前にも責任がある。ということで2人で頑張れ!」

そういうと安藤先生はパソコンに向き黙々と作業を始めてしまった。
私は仕方なく職員室を出て行ったが安藤先生がニヤニヤしているように思えた。
私は教室に戻ってから気づいた。
先生は私と政輝が恋人という関係だと勘違いしたままで、それを解かないとまずいんじゃないかと。
しかしもう遅く、誤解を解くのは今度にしようと思いながら政輝にメールを送った。