彼の照れ隠しの時の癖は、今でも変わっていない。
右耳を触る。
今も顔を真っ赤に赤らめて耳を触る彼は、かっこよくて可愛い、私にとって最高の彼氏だ。
「あのー、ね。こんな良いものを貰ってしまったあとだし、すっごく渡しづらいんだけど、これ。まず、この青いリボンの方を、ユアンに。で、銀色のリボンのが、彼方。感謝チョコと、その……所謂本命チョコ。
不器用だし、色々事件があったからね、予定より、大幅に時間かかっちゃって。……本当は、これ渡すためにチェスに呼んだ。けど、呼んだ時間までに終わらなくて……不味かったらごめん。捨てずに食べてくれたら、嬉しい」
私のたどたどしい言葉を全て待ってから、彼は片方の箱を手に取った。
ユ「藍乃、変わってないね。すごく藍乃らしいよ」
銀色のリボンがついた、本命チョコ。
シワの入った、角もズレているその包を愛おしそうに見つめてから、リボンに指をかけた。
ユ「開けるのも勿体ないよ」
そう笑いながら、そのままリボンを引いた。
蓋を開けると、そこに並ぶのは2つのマフィン。



