☆☆☆

「航、休憩入りな〜」

「うん」

自分の部屋に戻ってベッドに横になった。

はあ……疲れた。

カバンには大量のチョコレート。
さっきの彼女の表情が頭から離れない。
罪悪感に押しつぶされそうになる。

なんでこんな気持ちにならないといけないんだよ……

負の感情が自分を取り巻いて、払っても払っても払いきれない。

こういう時は……
机の上のスマホに手を伸ばし、優兄に電話をかけようとしたその時——……

オレの手の中でスマホが震えだした。

画面に表示されたのは『暮沢さん』の文字。

「もしもし?」

『……水野。突然ごめんね』

「体調は大丈夫?」

『大丈夫だよ。あの、今から桜田公園に来れる?』

「え?」

『お家の手伝いが忙しいなら無理しなくて…』

「急いで行く」

暮沢さんの言葉を遮ってオレが答えると、少しの沈黙が流れた。

「暮沢さん?」

変なこと言ったかな?というオレの不安なんて知る由もなく、

『……うん。待ってる』

暮沢さんの声はいつもみたいに笑っていた。