その翌日。
「ねー古賀くーん、おーねーがーいー」
「うるせぇ黙れ」
教室にて、俺は朝からこいつにしつこいぐらいに絡まれていた。
昨日はあのまま撒いてみせたが、今日は学校に来るなり『古賀くーん!』なんて、まぁ何とものびのびした声で呼ばれたものだ。
腹立つから頭殴っといたけど。
しかしこの女、想像以上に諦めが悪かった。
「古賀くーんねーえー」
「ちょっ、千寿……!」
「……黙っとけ」
授業中も。
「こっがくーん!どこ行くの?」
「てめぇにゃ関係ねぇ」
休み時間も。
「こーがーくーんー!」
「トイレに向かって叫ぶな!!!」
挙句、トイレにまで俺の名を呼ぶ始末。
何回も放り投げて頭を叩いて邪魔だと言って、しかしそれでも泉は鬱陶しいぐらい俺の後ろを引っ付いてくる。あんまりにもしつこいので、もうほぼ無視を決め込む事にした、は、いいが。
「えー、じゃあ孟に引っ付いてたのって俺らの仲間になりたいって事?あ、焼きそばパンあげる」
「そだよーありがとー飴玉あげるね」
「あ、飴俺も欲しい」
「いいよー」
問題はこいつらである。
うぇーい、なんて訳のわからん盛り上がりをしているのは、現在俺の引っ付き虫状態の泉と、俺と同じ“鬼羅”のメンバー。
金髪にシルバーアクセをじゃらじゃらとつけた方が、二年で幹部の市川瞬。
もう一人の剃りこみ入れてピアスを両耳に三つずつつけているのが、同じく幹部で一年の諏訪一誠。
そこから少し離れた俺の隣で黙々と飯を食っているのが、鬼羅の総長で俺の幼馴染、奥宮蓮。
「なぁれーんー。もうこの子いれたげたら?可愛いし面白いし」
「おいコラ舜、てめぇ」
「俺も賛成。千寿入ったら楽しそう」
「お前らなぁ……」
流石に泉のコミュ力は伊達じゃないらしく、この数十分で完璧に2人と友人関係を築いてやがる。舜は女好きだからあれだけども。
「蓮君お願い!足手纏いにはならないから、鬼羅に入れて下さい!」
「てめぇなんざ足手纏いにしかなんねぇよ。とっとと諦めろや」
「私は蓮君に話してるんですーブラックオールバックは黙ってて下さいー」
「変なあだ名つけんじゃねぇぶっ殺すぞ!!」
ぶふぉっ、と舜と一誠が噴き出した。
顔を伏せてぷるぷると震える2人に、ピキッとこめかみあたりで音が聞こえる。
「てめぇらそこに並べ、その頭かち割ってやる」
「えーそんな怒んなよブラックオールバックー」
「殺すぞ」
「殺害予告で訴えるぞブラックオールバック」
……本気で殺す。
静かに決意して立ち上がると、さっきまで笑ってた3人が同時に腰を上げて逃げ出し始めた。逃げ足だけはいっちょ前だな。
「まずはこんなあだ名つけやがったてめぇからだ」
「か弱い女の子に何するつもり!?」
「千寿ちゃん、この怪人ブラックオールバックには感情ってモンがないんだよ」
「予定変更だてめぇからやる舜」
いーやー!と舜の絶叫が屋上に響き、俺はその後を追いかける。フェンスの上に避難して腰掛ける一誠を「猿か!!」という舜の言葉が飛び抜けた。
「蓮君匿って!」
「いやてめぇは何蓮のとこ逃げてやがる!!」
「………」
「ねー古賀くーん、おーねーがーいー」
「うるせぇ黙れ」
教室にて、俺は朝からこいつにしつこいぐらいに絡まれていた。
昨日はあのまま撒いてみせたが、今日は学校に来るなり『古賀くーん!』なんて、まぁ何とものびのびした声で呼ばれたものだ。
腹立つから頭殴っといたけど。
しかしこの女、想像以上に諦めが悪かった。
「古賀くーんねーえー」
「ちょっ、千寿……!」
「……黙っとけ」
授業中も。
「こっがくーん!どこ行くの?」
「てめぇにゃ関係ねぇ」
休み時間も。
「こーがーくーんー!」
「トイレに向かって叫ぶな!!!」
挙句、トイレにまで俺の名を呼ぶ始末。
何回も放り投げて頭を叩いて邪魔だと言って、しかしそれでも泉は鬱陶しいぐらい俺の後ろを引っ付いてくる。あんまりにもしつこいので、もうほぼ無視を決め込む事にした、は、いいが。
「えー、じゃあ孟に引っ付いてたのって俺らの仲間になりたいって事?あ、焼きそばパンあげる」
「そだよーありがとー飴玉あげるね」
「あ、飴俺も欲しい」
「いいよー」
問題はこいつらである。
うぇーい、なんて訳のわからん盛り上がりをしているのは、現在俺の引っ付き虫状態の泉と、俺と同じ“鬼羅”のメンバー。
金髪にシルバーアクセをじゃらじゃらとつけた方が、二年で幹部の市川瞬。
もう一人の剃りこみ入れてピアスを両耳に三つずつつけているのが、同じく幹部で一年の諏訪一誠。
そこから少し離れた俺の隣で黙々と飯を食っているのが、鬼羅の総長で俺の幼馴染、奥宮蓮。
「なぁれーんー。もうこの子いれたげたら?可愛いし面白いし」
「おいコラ舜、てめぇ」
「俺も賛成。千寿入ったら楽しそう」
「お前らなぁ……」
流石に泉のコミュ力は伊達じゃないらしく、この数十分で完璧に2人と友人関係を築いてやがる。舜は女好きだからあれだけども。
「蓮君お願い!足手纏いにはならないから、鬼羅に入れて下さい!」
「てめぇなんざ足手纏いにしかなんねぇよ。とっとと諦めろや」
「私は蓮君に話してるんですーブラックオールバックは黙ってて下さいー」
「変なあだ名つけんじゃねぇぶっ殺すぞ!!」
ぶふぉっ、と舜と一誠が噴き出した。
顔を伏せてぷるぷると震える2人に、ピキッとこめかみあたりで音が聞こえる。
「てめぇらそこに並べ、その頭かち割ってやる」
「えーそんな怒んなよブラックオールバックー」
「殺すぞ」
「殺害予告で訴えるぞブラックオールバック」
……本気で殺す。
静かに決意して立ち上がると、さっきまで笑ってた3人が同時に腰を上げて逃げ出し始めた。逃げ足だけはいっちょ前だな。
「まずはこんなあだ名つけやがったてめぇからだ」
「か弱い女の子に何するつもり!?」
「千寿ちゃん、この怪人ブラックオールバックには感情ってモンがないんだよ」
「予定変更だてめぇからやる舜」
いーやー!と舜の絶叫が屋上に響き、俺はその後を追いかける。フェンスの上に避難して腰掛ける一誠を「猿か!!」という舜の言葉が飛び抜けた。
「蓮君匿って!」
「いやてめぇは何蓮のとこ逃げてやがる!!」
「………」
