最初は違うと思った。 お兄さんが他の女の人と歩く姿を見ても、そんなに胸は痛まなかった。 ――何時《いつ》から? こんな風に彼を想うだけで辛くなるようになったのは。 会うのを、楽しみにするようになったのは。 一体何時からだったのだろう。 黒かった髪も染めてみたりして、 殆ど素顔に近かった顔に化粧を施すようになって、 まさか私がこんな風になるなんて想像も付かなかった。 ねえ、お兄さん。 これって――恋、なのかな。