青々とした街路樹を見上げながら、いつものように足を進めていく。

地面を覆うのは、アスファルトとは似ても似付かない沢山の粗い粉末からなる土。




いつから、なんて分からない。

一週間に一度の休みの日、私は決まってこの公園に足を運ぶのだ。






「……あれ」


今日も、先客が居た。







「お兄さん、なにやってんのー」

「あ、お姉さん」



両膝に手を添えて、しゃがみ込んでいる男と同じ目線に変えてみる。


名前も知らない彼を呼べば、はにかんだような表情で笑みを乗せる姿が印象的で。





「猫がさ、いたから」


広い背からちらりと見えたのは、小さくて愛らしい子猫だった。







「なに、野良猫?」

「うーん、たぶん」

「ふうん」


ちらり、視線を落とせばにゃあと鳴く声が心を擽る。

思わず頬を緩めて見つめていれば、斜め上から感じる視線にハッと振り仰いだ。





「……なんでしょうか、お兄さん」

「んーん、俺のことは気にしなくていいよ?」

「いやいや、気になるでしょうよ」


そりゃ、見られていればさ。