私は黙って俯くことしかできなかった。

「朝雛、聞いてくれる？」

「へ？」

マヌケな声が出てしまった。
急に言われた一言に頭が追いつかない。

「朝雛だったら信用して話せるなって思って。
いいかな？」

私には断る理由なんてなかった。
好きだった人からの嬉しすぎる言葉。
一瞬にして心が舞い上がった。
しかし次の瞬間、またどん底に落とされた。

「おれ、彼女のこと本気で好きだったんだ。
小さい頃から親同士も仲よくてさ、
幼馴染ってやつ。そのまま親たちが勝手に
結婚まで考えててさ、おれはずっと好きだった
からもちろん良かったんだ。彼女もそうだと
勝手に思ってた。でも違ったんだ。
彼女から言われたんだ。
永涼も結婚は好きな人としたいでしょ？って
いくら幼馴染だからって無理に結婚する必要は
ないよって。私、もう結婚を考えてる人がいるの
そう言われたんだ。」