「どう?」

「どう……って?」

 質問の意味がわからず、顔を上げて女性に聞き返す。



「その、プレゼントをあげたい人に似合いそう?」

「あ、はい」

 このネックレスも、彼女にぴったりだと感じた。



「それなら、これ」女性は箱を俺の方に押し出す。「申し訳ないけど、ラッピングは自分でどうにかして」



「え? どういう意味……ですか?」

 状況についていけない。どうやら、このネックレスを俺にくれるらしいということだけはなんとなくわかった。



「ああ、お代は要らないから」

 なぜこの人は、さっき会ったばかりのよく知りもしない男に、タダでアクセサリーを譲ろうとしているのか。



「いや、そういうわけには」

 新手の詐欺かもしれない。黒い服を着た怖い人たちが家に来たらどうしよう。

「あ、詐欺とかじゃないから。心配しないで大丈夫。その代わり、周りに宣伝しまくってほしいな」



「はぁ」

 そんなことを言われても、いきなりこんな高価そうなものをもらうのは気が引ける。しかし、星のキーホルダーを見たとき、運命的な何かを感じたことも事実なのだ。せめて、理由がわかればいいのだが。



「じゃあついでに、もう一つ話を聞いてくれる?」

 困っている俺を楽しそうに眺めながら、その女性は口を開いた。

「は、はい」



「普段だったら、こんな風に作ったものを誰かにあげることなんてないの。でも、昔の自分とあなたを重ねてしまって。懐かしくなっちゃって」

「昔の、自分……ですか?」