息を切らしながら小屋へ入り、すぐにバッグからお守りを取り出す。

 巾着越しでは光っているかどうかわからないほどに、石の発する輝きは弱くなっていた。



「伊澄、そこにいるの?」

 お守りから石を取り出して、口元に持っていき、僕は問いかける。

 頼む。間に合ってくれ。



〈……いるよ〉

 小さい声ながらも、応答があったことにホッとする。



「よかった」胸を撫で下ろして「伊澄、バカなことはやめろ!」

 僕らしくない、はっきりとした強い口調で言った。



〈……バカなことって?〉

 答えまでの微妙な間が、僕の予想が当たっていたことを物語っていた。



「だから、その……とにかく、大丈夫だから。今はつらいかもしれないけど、これから絶対いいことあるから。……って、ありきたりな言葉だけど、そういうんじゃなくて。伊澄はすごく真面目で優しいから、心の底からそう思ってて。それで、こんなこと言ってるわけであって……」



 焦るあまり、自分でも何を言いたいのかわからなくなってくる。

 それでも、僕が思うことはただ一つ。

 伊澄にはちゃんと、前を向いて生きていてほしいということで。