大胆にも、たくさんの人間の前で愛の告白を叫んでしまった事実に遅れて気づく。周りの視線が僕に集まっていた。首から上が一気に熱くなる。



 恥ずかしさに下を向きながら席へ戻ると、僕の好きな人が涙を流していた。泣き顔も綺麗だ、などと一瞬思ってしまったが、それどころではない。



「あ、あの……。ごめんなさい。余計なことしてしまって。迷惑……でしたよね」

 うやむやになった前回と違い、僕の気持ちは間違いなく彼女に伝わっただろう。火照った顔が、さらに熱を帯びるのがわかった。



「とりあえず、外に出ましょうか」

 僕がおそるおそる提案すると、彼女はすすり泣いたまま首肯した。

 食器の乗ったお盆を明李さんの分も持って、僕は食堂の出口へ向かう。



 僕の後ろを一歩遅れてついてくる明李さんは、唇を噛み締めて涙をこらえている。好奇の視線を痛いほどに感じたが、外にまで覗きに来る人はいなかった。



 学食を出た僕たちは近くのベンチに隣り合って座り、明李さんが落ち着くのを待った。



「ごめんね。もう大丈夫」

 明李さんが、まだ濡れている瞳で微笑んだ。



「本当に、すみませんでした」

 僕は頭を下げる。明李さんを傷つけたのはあの男だったが、わざわざ騒ぎを大きくしてしまったのは僕だ。余計なことをしてしまい、反省している。



「ううん、違うの。嬉しくて。ありがとう」

「え?」

 嫌われてしまってもおかしくないと思っていたものだから、予想外の反応に僕は驚いた。嬉しいというのは、いったいどういうことだろう。