「好きにやらせてもらうよ…」

どうすればよかったんだろう…
齋藤君と付き合ってるって言えば、よかったのか。
後ろも振り返らず、営業部に向かって足早に歩いていた。


「…待って」

「…え?」

待って、と声が聞こえた瞬間、手首を掴まれた。
振り返ると、齋藤君がさっきと同じように息を切らして立っていた。
走って私を追いかけてきたんだろう。
まだ休憩時間と言うこともあり、周りに人はいなかった。

困っていると、齋藤君は掴んでいた腕を引っ張った。

「ちょっと…来て」

齋藤君は、資料室のドアを開け入ると、私の腕を強く引っ張った。
そしてそのまま齋藤君に抱きしめられていた。

「…っ、さ、齋藤君」

「心配させんなよっ。まだ白石課長が絢の事、好きだって言ってただろう?」

「ご、ごめ……っ」

ごめんなさいの言葉は齋藤君の口内にかき消された。

こんな激しくキスされるなんて…性急に上がってくる齋藤君の熱情に私は、膝から崩れそうになった。

崩れそうになる私を、腰を強く抱き止めた齋藤君に、私はやっとの思いでしがみついた。