「そんな、気にしなくてもいいよ。ありがとう。また、会社でね」

そう言って電話を切ろうとした。

「あ、あの。永山さん…」

「ん?どうしたの?」

齋藤君が黙り込んでしまった。
少しの沈黙が流れた。

どうしたの?

「齋藤君?どうしたの?」

「…いや…あの…、また会社で」

「?ん、わざわざありがとね」

またね、と電話を切った。

なん、なんだったの?

朝からの電話で話さなきゃいけないこと?
会社で聞けばいいことじゃない?
齋藤君も変に真面目なんだから…
私、勘違いしそうになったじゃない。
危ない危ない。

さぁ、仕事仕事。
私は気持ちを切り替えた。

その後、齋藤君からの電話のおかげ?もあって、私の頭はこれでもかってぐらいに醒めた。
そして、いつもより早めに会社に着いてしまった。


「さすがに早すぎるでしょ」

8時。
さすがに早かった。
どこかのカフェでも寄ってくればよかったかな…。


コーヒーでも飲もうと、休憩スペースにある自販機に向かった。