更衣室で着替えていると、カバンの中で電話が鳴っているのに気がついた。

慌てて携帯を取り出すと、和己さんからの着信だった。

「もしもし、和己さん?昨日はありがとうございました」

「おう。絢、その声だと少しは良くなったみたいだな。昨日、大変だったんだぞ?」

「はい、点滴してから落ち着きました。茉耶さんにもお世話になって…って、大変?」

「もちろん、齋藤の事に決まってんだろうが。ちゃんと話しろよな。じゃ、また二人で店来いよ」

そう言うと和己さんは電話を切った。

大変だった…。

そういえば…朝、齋藤君が言ってたっけ。

私がしでかした事なのに、みんなに迷惑や心配をかけて申し訳ない気持ちになった。

「ダメだな、私」

一人呟きながら、携帯をカバンに入れて更衣室を出た。

「遅い」

「え?」

振り向くと齋藤君が更衣室の前で立っていた。