「えー!そんなこと言わずにお願いっ」
…こういう人の都合などお構いなしの奴も嫌いだ。
「残念だが他を当たってくれ」
「えーっ!やだよ、私はつつるんがいいの!」
「…その変なあだ名もやめろ」
「えー何で?可愛いじゃん、つつるん!」
…あぁ。今日も、頭が痛い。
元々頭痛持ちだったが、最近特に悪化しているような気がする…。
「つつる…」
「うるさい黙れ」
パチ、と衛藤亜衣が大きな目を更に大きく見開いた。驚いたように俺を見ている。
「俺は君に勉強を教えるほど暇じゃない。もう構わないでくれ」
「……わ…わかった」
少しの間を置いて、衛藤亜衣が頷いた。
…何でそんな傷ついた顔をする。
気まぐれで勉強してみてるだけだろ?別にそんな、大事じゃない。
再び本に視線を戻した俺に背を向けて、衛藤亜衣は自席に戻っていった。
これで少しは、俺の頭痛も良くなるかもな。



