僕は1人、廊下を歩いていた。
周りは薄暗く、太陽は沈んでしまっている。
他の生徒は、下校時刻を迎え、皆帰った。
僕は自分の役職のため、特別に残っている。

扉の前で歩みを止め、カギ穴にカギを差し込む。
カチャッという心地良い音が、静かな廊下全体に響き渡っていく。
扉を開くと、大量の本が僕を待ち構えていた。
……やはり、図書室は落ち着く。
見回りのために来たのだが、少しくらいゆっくりしても良いだろう。
僕は特等席へ向かった。
「……ん?」
座ったところで、違和感に気づく。
机に何か描かれている…?
意外だ。この席は誰も使わないと思っていた。
「…ネコ」
可愛らしいネコが、寝ている。
僕の唯一の癒す存在であるネコ。
これを描いたのは、誰なのだろうか…。
ここはやはり、権力を乱用して探すしかないな。
すぐ見つかるだろう。この学校は僕の庭みたいなものだ。
……それは少し調子に乗りすぎた発言だが。
少なくとも1ヶ月以内には見つけてやろう。
「さてと…」
そろそろ戻ろう。バレるかもしれないし。
その前に僕は、近くに置かれた鉛筆を手に取る。
そして、少し言葉と、僕もネコを描いてみた。
……傑作だ。
僕はそのまま図書室を出て、カギを閉めた。
「どんな反応をするだろうか、ネコの人は…」
明日も見に来よう、なんて1人で考えていた。