ほわいとちょこれーと!─幼馴染みと恋するホワイトデー


「あ、そうだ!」


 私はクッキーとホワイトチョコの箱を机に置くと、代わりにさっき買ってきたカラフルなキャンディを千早に差し出した。


「え、何?」


「バレンタイン」


「は?なんで?チョコもらったし」


「じゃあ、特別」


 そう言うと千早は嬉しそうな顔をしてそれを受け取った。


「訳分かんねー」


「分かんないから特別じゃない?」


「いや、分かんないけど特別」


 千早がキャンディのケースをしげしげと眺める。
 キャンディが部屋の灯りを反射してきらきらしている。


「こういうの好きだなー。なんかいろんな色でさ、個性豊かって言うか人みたいじゃん。友達いっぱいみたいな。

差し詰めこの白く透き通ってんの、瑚子って感じ」


 あぁ、私、なんとなくだけど千早のこと、分かってるのかな?


「ねぇ千早」

「ん?」

「あの…ミサトには…なんて答えたの?」

「ミサト?」

「うん…ほら、チョコ貰ったでしょ?箱入りの」

「あぁ…なんて答えたも何もお返しはしたよ?

ミサトだけじゃなくてチョコくれたヤツみんなクッキー配ったけど?」

「は!?」


 あぁ、分からないんじゃない。忘れてたんだ私。

 千早が意外とモテることも、そして…


 どうしようもなく鈍感なことも…


「でも嬉しかったのは瑚子だけだから、特別も瑚子だけ」


「え…」


 それは幼馴染みだから?


 それとも…?


「千早、これからもずっと特別でいられるかな?」


「あぁ。これからもずっと特別」


 千早がもう一度私の手を取り、今度は指を絡めて握る。

 私もそれに応えるように指先に力を込めて握り返した。



 千早は大事な幼馴染みで、ずっと特別だったんだ。



 そしてこれからもずっと特別。



 でもこれからは幼馴染み以外の意味で特別になっていけるのかな?



ねぇ?千早─





《ほわいとちょこれーと!
─幼馴染みと恋するホワイトデー ─終─ 》