カランカランと扉が開いたことを知らせる鐘が鳴った。

「ごめんくださーい……」

恐る恐る店内に入ると、薄暗く、静寂に時計の音だけがカチカチと響いていた。

「いらっしゃい」

店の奥からの声に視線を巡らせると、黒髪の成人男性が木製のカウンターテーブルを背に佇んでいた。

「あの……こんにちは。店主さんですか?」

男性は私の姿を見て、一瞬だけ驚いた表情をした気がした。

「あぁ、そうだ」

おじいさんじゃなくて若い人だ……でも厳しそうなのは想像通りかも。

「時計の修理をお願いしたくて……」

ネックレスを渡すために歩み寄る。

少し長めの黒髪に切れ長の目、整った顔に背も高く、素直にかっこいいと思った。

店主さんを見上げ、懐かしい感覚にとらわれる。

不思議と心地いい香りと、

「……どうかしたか?」

落ち着いたこの声も、私を見つめる昏い瞳も、久しぶりだと思った。

なんで……?