ハッとして二人同時に離れた。

男性と緋瀬さんの一発でぐったりと伸びている誘拐犯。

「こいつらが爺の言ってた侵入者か」

「だろうね?部下に通達したから、あとは任せよう」

「相変わらずお前は仕事が早いな。そのおかげで衣月を助けられたが。ありがとな」

「どういたしまして」

二人は知り合いなのかな……仲良さそう。

「あ。そうだそうだ」

ずいっと若い男性が私に近づいて頭を下げた。

「はじめまして」

頭を上げて、灰色の瞳で見つめられる。

「夜一の唯一の友人で、

「唯一じゃない」

すかさず緋瀬さんが反論した。

妖狐の氷宙です。よろしくね、衣月ちゃん」

構わずに氷宙さんは続けた。

「着物、似合うね。うん……いい」