夏向から少し身体を離して、しっかり顔を見て言ってやった。


「ゆ、佑都先輩と一緒にお昼食べてた」


珍しく夏向の表情があっけなく崩れた。
それはもう不機嫌そうに。


「アイツに触らせたの……?」

「え……?」


「甘くどい匂いがする」


たぶん、佑都先輩の香水の匂いだ。



「冬花から俺以外の男の匂いがするなんて、気が狂いそう」


独占欲みたいな、その言葉にこっちの気が狂いそうになる。

吐き捨てる言葉を間違えてる。



「へ、変なこと言わないで……。別にわたしが佑都先輩と何してたって夏向には関係ないでしょ……」


わたしがまともなことを言えば。



「……冬花はぜったい俺じゃないとダメだよ」


また、わけのわからないことを言ってくる。

その自信はどこからくるの?



「そんなことない……っ。勝手に決めつけないで。わたしは夏向のものじゃないよ。それに……、わたし佑都先輩と付き合うって決めた……から」