とてもこれが、仮とはいえ彼女と彼氏の会話には聞こえない。


「木咲くんと比べちゃう?」

「っ……」


なんだ、ぜんぶお見通しみたいじゃん。



「残念ながら、俺は木咲くんじゃないよ。まあ、でも彼女が苦手っていうなら香水変えてみてもいいかなって思うよ」


「そう、ですか……」



「早く木咲くんのこと忘れて俺に惚れちゃえばいいのに。俺結構モテるのにねー」


「モテる自覚あるなら、わたしみたいな可愛くないのを彼女にしなくても……」


「可愛いか可愛くないか判断するのは俺の自由だし。少なからず俺は冬花ちゃんのこと気に入ってるよ」



「物好きですね」


「ありがたい褒め言葉だね」