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「ん……」
何やら頬をむにゅっと引っ張られたような感じがして、眠っていた意識が覚めてきた。
「かな……た?」
うっすら目を開けると、目を細めて笑う夏向の顔がよく見える。
「……寝顔かわいい。ずっと見てたいくらい」
「や、やだ…見ないで」
寝顔なんてぜったい変な顔してるのに。
「ほっぺ柔らかいね」
「やだ、ほっぺ触られるのきらい…っ」
「なんで?」
「むにむにしてる、から…」
「それがいいのに」
やだって言っても、夏向はずっとわたしのほっぺをフニフニしている。
「……男ってさ、柔らかいもの好きなんだよ」
「な、何それ」
「自分にないから。
女の子独特の柔らかさっていうの?それがたまんない」
「なんか夏向がそういうこと言うと変態チックに聞こえるよ」
「ひどいね、褒めてんのに」

