「それで木咲くんとうまくいったから、
俺と別れて欲しいとか都合良すぎじゃない？」


「……ご、ごめんなさい」




「謝ってほしいわけじゃないんだけどなー。
まあ、俺も悪いところたくさんあるからあんま強く言えないけど。

俺って本気になったら結構しつこいよ？」




あの時、軽はずみに付き合うなんて言わなきゃよかった。


そうすれば、先輩と距離が近くなることも、
先輩がわたしに本気になったりすることもなかったのに……。



自分勝手だったのはわたしのほうで、


先輩の優しさとか、

そばにいてくれる温かさとか、


それに甘えていたわたしが悪いんだ。



何度自分の胸に問いかけても、過去の出来事をたどっても、結局ぜんぶ自分が悪くて、先の言葉がうまく出てこない。



何も言えないまま、下を向くことしかできない。